
兄妹姉妹もがんばっている-見落とされがちな心のサイン-
発達特性のある子どもの育児は、親にとって多くのエネルギーを必要とします。
その子の癇癪、感覚過敏、こだわり…。
正直、今日を乗り切るだけで精一杯な日もあると思います。
私も、精神面が安定せず目を話すと抜毛を繰り返してしまう娘と、いっぱいいっぱいの日々を過ごしてきました。
でもそんな時気づきました。
その隣りにいるもう一人の子の事をちゃんと見ていなかったかもしれないと…。
私は、不登校・抜毛症・HSCの特性を持つ娘と過ごしている中で、もう一人の子ども(兄)が毎日どんな気持ちで毎日過ごしていたのか、その『我慢』に気づくまでに時間がかかりました。
きょうだいは、見えないところでたくさん頑張っているんです。
発達特性のある子の育児は、きょうだいの『心のケア』も必要不可欠
発達特性のある子の育児は、きょうだいへの配慮とサポートが必須です。
親が意識的に関わらなければ、きょうだいは『いい子』を演じたり、『我慢』や『自己犠牲』を続けてしまいます。
その結果、心のストレスや見えにくいサインを出していることも。
特に、発達特性のある子のケアに追われていると、『手のかからない子』に甘えてしまいこともあります。


あの子は大丈夫。
しっかりしているから…。
そう思いたい気持ちはありますが、実はその『しっかり』が心の悲鳴だったりするのです。
きょうだいが受ける3つの心理的影響
兄妹が感じる影響は一つではありません。
これから説明する3つの心理的負担が生まれやすくなります。
1.比較と自己否定
発達特性のある子が叱られにくかったり、優先的に扱われたりする場面が続くと

自分ばかり叱られる
あっちばっかり見てもらっている
と感じることがあります。
その結果「自分は愛されていないのでは?」という不安や、自己否定の気持ちを抱えてしまうことも。
2.過度な我慢・親への遠慮

ママを困らせたくない。
また泣かれると大変だたら、自分が我慢しよう。
子どもながらも親の大変さを察し、「自分の気持ちを抑える」ようになります。
それが続くと、感情のコントロールが苦手になったり対人関係に影響することも。
3.役割の混乱(小さな親化)
親が忙しいと、きょうだいが「自分が助けないと」と思い込み、小さな親のように振る舞うことがあります。
頼もしく思える反面、年齢にふさわしい甘えや安心感を得られなくなる可能性があります。
わが家でおきた、小さなSOS

実際に、私たち家族にもこのような出来事がありました。
息子が小学生の低学年の頃です。
ある夜、娘が

ママ!
眠れないからこっち来て一緒にいて!
と泣いて騒いでいました。
私は仕方ないので気の済むまで娘のそばにいることを選び、息子には

ごめんね、こんな状態だから今日はひとりで寝て欲しいんだ。
と声をかけました。
次の日の朝息子は

ねぇママ、
なんで〇〇(娘)ばっかりなの?
私はその言葉を言わせてしまったことに胸が詰まりました。
自分だって甘えたい。
ママの隣で一緒に寝たい。
きっと、ずっと前から感じていたんですよね…
いつもは文句も言わず、ひとりで寝たり、率先してお手伝いをしてくれていた息子の『本音』でした。
『きょうだいもケアの対象』気づけた今から変えていける
もし今、「うちも同じかも」と感じたなら、まずは第一歩です。
特別なケアが必要な子がいると、どうしてもその子に意識が向きがちですが、親としては『誰かが犠牲にならない子育て』を意識することが大切です。
きょうだいすべてに平等にできなくても大丈夫。
「あの子にも、こんな気持があるんだな」と意識することは、今からでも出来ると思うんです。
『きょうだいの気持ちを定期的に見つめる』こと『気づいた時にほんの少し手を伸ばすこと』を少しずつ習慣にしていけたら子どもたちの心にもきっと届きます。
きょうだいの心を守る5つのケア習慣
私が息子に対して実践して良かったと感じた、きょうだいへのケアの方法を紹介します。

1.名前を呼んで『特別な時間』をつくる
たとえ少しの時間しかなくても

〇〇〜!
一緒にお話しよっか!
と、息子を膝に乗せて話すことで幸せそうな笑顔が見られました。
その他にも、こっそり二人でお菓子を食べたり、テレビゲームで対戦したり。
一人ひとりと向き合う時間を少しだけでも持つ。
自分は後回しじゃないと感じてもうことが大切です。
2.「ありがとう」「助かったよ」の言葉を意識的に伝える
お手伝いしてくれたとき、何か我慢してくれたとき
えらいね〜!
ではなく
〇〇のおかげで助かったよ!
いつもありがとう!
と心からの感謝を伝えることが、子どもの自己肯定感につながります。
3.思いを言葉にする練習を一緒にする
我慢している子は、感情をうまく出せないことがあります。
そして、自分が思っている言葉を出してしまったら怒られるかな?困らせるのでは?と不安から伝えることを諦めてしまうことも多いです。

悲しかった?
ほんとはなんて言いたかった?
と子どもの気持ちを代弁してあげることで、心の中が少しづつ整理されていきます。
4.きょうだい間で比べない声かけを心がける
つい言ってしまいがちな

お兄ちゃんは我慢してるよ
妹は静かにしてるのに
などの比較ではなく、
それぞれの子の『その子らしい頑張り』に目を向けましょう。
5.親も自分の時間をとる
親の心に余裕があれば、子どもの変化にも気づきやすくなります。
ひとりで抱え込まず、休む・頼ることも大切なケアの一部です。
あなたの家族だけのペースで、少しずつ前へ
きょうだいのケアは、特別なことではありません。
ほんの少し目を向けるだけ。
「大丈夫」と言ってくれているあの子の本当の気持ちに気づけたとき、親としてのあり方がまた一つ変わっていきます。
子どもたちの未来のために、今できることを少しづつ。
家族それぞれが『自分らしくていい』と思える関係を、一緒に作っていけたらいいですね。