
子どもが無意識に髪を抜いてしまう『抜毛症』。
ふと気づいたら髪が薄くなっていたり、床にたくさんの髪の毛が落ちていたりで胸を締めつけられるような思いをしているお母さんはいませんか?
「どうしてやめられないの?」
「このままだと友達に気づかれて、子どもが傷つくんじゃないか…」
「家族やきょうだいにどう伝えるとわかってもらえる?」
抜毛症は、心の不安や緊張が行動に表れているサインです。
私たち母親にとっては『子どもを守りたい』という気持ちと『正しく理解してもらいたい』という思いで、とても悩ましい問題です。
特に私がむずかしいと感じたのは、きょうだいや祖父母にどう伝えるかというでした。
伝え方次第で誤解を招いてしまったり、子どもが傷つくのではないかと心配になります。
今回は、安心して家族と向き合えるように【やさしい伝え方】と【日常の工夫】を私自身の実体験や学びとともにお伝えします。
抜毛症を家族に伝える
子供を否定しない言葉を選ぶ
まず大切なのは、私たち母親自身が『抜毛症は意志が弱いからではない』ことを理解することです。
子どもはわざと抜いているのではなく、不安や緊張がたまったときに無意識に髪を触ってしまうことが多いです。
家族に伝えるときは、ただ「抜毛症なんだ…」というよりも「本人もやめられなくて苦しんでいる」と前置きするだけで受け止め方も大きく変わります。

子どもを守る立場で伝えること。
夫に伝えるとき「これは単なる癖じゃなくて、心のSOSからきているものなの。本人も困っているし、そのたびに悲しい思いをしてるから見ても責めないでね。」と言いました。
最初は驚いていたし難しい表情をしていましたが、「無理にやめさせるのは違うんだな。」と理解してくれて、子どもに余計な言葉をかけなくなりました。
知識を共有して安心感を広げる
私も小児精神科を受診して初めて知った症状だったように、抜毛症はまだ一般的な認知度が低く『変な癖』『本人の意志の問題』と受け取られてしまうことがあります。
そのため、母親が一人で説明しようと背負い込むのではなく、医学的な説明や専門家のコメントなどを一緒に読んでもらうのも有効です。

正しい情報を共有すること。
私の場合は、小児精神科の先生に頂いたわかりやすい説明資料を祖父母に見せました。
「知らなかった、そんなこともあるんだね」と驚きながらも理解してくれて「無理にやめさせたら、〇〇ちゃんがもっと辛くなるんだね。」と娘への接し方を変えてくれました。
きょうだいへの伝え方と接し方
からかいを防ぐために先回りする
きょうだいは無邪気な分、悪気なく「なんで髪抜いてるの?」と言ってしまうことがあります。
でもその一言が子どもに深い傷を残すことも…。
だからこそ、こちらから先に説明しておくことが大切です。

子ども同士の関係を守ること。
上のお兄ちゃんには「〇〇は緊張したり、嫌な気持ちになると髪を抜いちゃうことがあるの。でも笑ったり、責めたりしちゃうと悲しくなってもっと髪を抜いちゃうかもしれないから、ママと一緒に〇〇をそっと見守ってほしい。」と伝えました。
そうすると「わかった。気になっちゃうけどそしたらママに言うね!」と子どもなりに理解しようとしてくれました。
一緒にできる安心行動を提案する
きょうだいは『自分も助けになりたい』と思って行動してくれることもあります。
そんなとき『こんなふうに関われるよ』と具体的に伝えると効果的でした。

きょうだいを”味方”にすること。
我が家では寝る前にストレッチをする習慣をつけました。
息子が「やるよー!」と声をかけると、娘も一緒に動き始め、自然と手を止められる時間ができました。
母親自身の気持ちを軽くする工夫
完璧に伝えようとしない
「きちんと説明しなきゃ!」と思うほど、自分が追い詰められます。
大事なのは100点の説明ではなく「子どもを守りたい!」という気持ちを伝えること。
それだけで十分です。

完璧より、気持ちを込めた言葉で
祖父母には「本人も困っているから、責めずに見守ってくれると助かる」とだけ伝えました。
すると「そっか、わかったよ大丈夫」と言ってくれ、難しい説明をせずとも理解してもらえました。
母親も安心を分かち合う
家族に伝えるのは責任と勇気がいりますが、話すことで母自身の安心感が増します。
信頼できる人に少しずつ話していくだけでも、孤独感は軽くなります。

一人で抱え込まないこと。
友人に「実は子どもが髪を抜いちゃってるんだ…」と話したら、「母としては辛いよね…うちの子は爪を噛むのがやめられなくて爪ボロボロなんだよね。考え事や不安からくる行動ってのは、なんか似てるものを感じるね。」と共感してくれました。
話した瞬間「私だけじゃないんだ」と心が少し軽くなり、安心できました。
大切なことは…
子どもの抜毛症についての家族への伝え方と接し方で大切なのは、
- 子どもを否定しないこと
- 正しい知識を少しずつ共有すること
- きょうだいを”味方”にすること
- 母親自身も安心を分かち合うこと
この4つです。

家族の中で『責める空気』ではなく『守る空気』が広がれば、子どもにとっても母親にとっても安心の居場所になります。
母親として「どう伝えればいいのだろう」と悩むのは自然なこと。
その一歩を踏み出すだけで、子どもも母親も少しずつ心が軽くなるはずです。
あなた自身が少しでも安心できる言葉を選ぶことが、子供にとって一番の支えになります。


