
「まさか、うちの子が髪を抜くなんて…」と戸惑っているあなたへ
「あれ?髪薄くなってる?」
「まつ毛や眉毛がなくなってる気がする…」
「癖かな?」
「ストレスって言ってもまだ子どもだし…」
なんて思っていました。
日に日に抜け落ちる髪の量が増えていき「これはただの癖じゃない」と思い直すまでに、私には時間がかかりました。
娘は幼稚園の時にはまつ毛・眉毛、小学2年生のときから髪の毛と抜毛症(医学的には「トリコチロマニア)の症状が現れました。
特に、気持ちに不安の強い時や就寝時に髪を抜いている様子が見られました。

やめなさい!
どうしてそんなことするの?
と、つい強く言ってしまうこともありました。
当時の私は「どうにかして止めさせたい」ばかりで、娘の気持ちに目を向ける余裕がありませんでした
でも、今ならわかります。
髪を抜く行為には、子どもなりの『しんどさのサイン』が隠れています。
だからこそ「やめさせよう」とコントロールするのではなく「なぜそうなっているのか?」を一緒に考える姿勢が大切になってきます。
今回は、同じように子どもの抜毛に悩むお母さん・お父さんに向けて
- 髪を抜く理由
- 子どもが伝えられない気持ち
- 私が実践して効果のあった関わり方
を詳しくお伝えしていきますので、どうか最後までお付き合いください。
髪を抜くのは、子どもからの『困ってる』のサイン。無理にやめさせようとしないで

抜毛症は、自分でもコントロールできない無意識の行動です。
子どもは髪が抜くのはただのクセではなく
- 今なにかに困っている
- モヤモヤしている
- どうしたらいいかわからない…
といった小さなストレスが積み重なり「髪を抜くと落ち着く」という状態です。
「髪を抜いてはいけない」とわかっていても、気持ちのやり場がなく手が髪に伸びてしまう。
抜くことで一時的に気がまぎれる。
でも、抜いた後は自己嫌悪…
そんなループに苦しんでる子も少なくありません。
私たち大人もストレスが溜まると爪を噛んだり、髪を触ったりすることがありますよね。
それと同じように、子どもが何かに耐えようとしているとき、自分を落ち着けるために髪を抜くことがあります。
だからこそ、親が最初にするべきことは『やめさせること』ではなく『しんどいサイン』だと受け取りその背景に目を向けることです。
髪を抜く子どもは、言葉にできない思いを行動で伝えている
1.不安や緊張を感じやすい性格(HSC・繊細さん)
- 大人のちょっとした言葉や表情に敏感に反応する
- 人前での失敗を極端に恐れる
- 集団の中で疲れやすい
このようなタイプの子は、学校など外の世界でたくさん我慢していて、家に帰ると無意識にその疲れが行動として出やすくなります。
2.自身をなくしている
- 勉強についていけない
- 友達とのトラブルがある
- 「ダメな子」「ちゃんとできない」と感じている
「どうせ私なんか…」という気持ちを、髪を抜くことで紛らわせていることもあります。
3.退屈・感覚の過敏さ・手持ち無沙汰
- テレビを見ているとき、寝る前など静かな時間に抜く
- 感覚が鋭く、髪の感触に強く反応してしまう
感覚のズレや刺激の感じ方の違いが影響しているケースもあります。
私の娘の場合
娘はHSCの特性もあり集団の中での生活にとても疲れやすく、先生の注意する言葉やお友達の力強い声に自分が怒られているように感じてしまいます。
そしてその自分の感情を処理しきれずに髪を触ることで落ち着こうとしていたのが始まりでした。
日に日に髪を抜くことが増え、テレビを見ながら…夜、寝付くまで…と無意識の間にも抜いてしまうようになりました。
子どもは「つらい」「苦しい」と言葉で伝えるのが難しいときもあります。
だからこそ、その行動の裏にある気持ちを想像することが、私たち親にできる大事な一歩なんだと気づかされました。
娘の抜毛に悩んだ私が試して効果の感じた5つの工夫
『どんなときに抜いているのか?』をさりげなく観察

- どの時間帯に多い?
(宿題中、寝る前、テレビを見ているときなど) - どこで抜いている?
(リビング、トイレ、布団の中など)
記録を取ることで『何がきっかけ』か見えてきます。
私はメモに毎日少しだけ「いつ」「どこで」「どんな表情だったか」を書いていきました。
どんな時にそうなるのかわかると、何に困っているのかのヒントになります。
「やめなさい!」ではなく「どうしたの?」という声かけ

- 「また抜いてる!やめなさい!」
こう言ってしまうと子どもは萎縮して余計に隠すようになり、ますます悪化します。 - 「髪を触ってるね、今気持ち落ち着かない?」
「気づいたよ。大丈夫?」
落ち着いた声で話しかけます。本人も少しづつ自分の気持ちを意識できるようになります。
抜く代わりにできる『手遊び』を用意

娘が髪を抜きたくなったときの代わりに
- 手首にヘアゴムを巻いて引っ張る
- ストレスボールを握る
- ぬいぐるみを抱く
- 無限プチプチ(おもちゃ)
など、抜毛の衝動が出たときに別の行動に切り替えられるようにすることで、頻度が減ってきました。
「抜いてはダメ」ではなく「抜きたくなったときは、これをやってみよう」と選べる方法として提案しました。
毎日5分でも『楽しかったことだけを話す時間』を作る

寝る前に「今日はどんなことが嬉しかった?」と話す習慣を始めました。
大事なのは「聞いてもらえる」と子どもが感じること。
アドバイスや否定は不要です。
必要なら専門機関に相談。親もひとりで抱え込まない

地域の発達支援センターやスクールカウンセラー、小児精神科など『今の状態を話す場所』はあります。
私と娘は小児精神科に通い定期的に診察とカウンセリングを受けています。
慣れるまでには時間はかかりましたが、今は落ち着いて「好きなこと」「嫌いなもの」「困ったこと」など娘が安心して話せる場所ができてきています。
髪を抜く子どもに必要なのは『責めない』こと
子どもが自分の髪を抜いてしまう行為を目にするのは、親としてはとてもつらいものですよね。

心の病気なの?
私の向き合い方が悪かった?
と自分を責めたくなるかもしれません。
でも抜毛は、その子が今どうしたらいいか分からなくなっているときに、気持ちを整えるためにやっている『自分なりの方法』です。
それを頭ごなしに止めようとしてしまうと、子どもは「わかってもらえなかった」と思ってしまいます。
責めるのではなく子どもが自分の気持ちを少しずつ出せるように、

よく頑張ってたね
一緒に考えていこうね
という気持ちで関わり方を変えていくこと。
「この子は今、頑張って気持ちを保とうとしているんだな」と思えたとき、わたしの中にも少しずつ余裕が生まれました。
子どもの抜毛に悩みを抱える方へ。今日からできる小さな対応を

●子どもが髪を抜く理由
- 不安
- 緊張
- 自身のなさ
- 退屈
- 感覚過敏など
言葉にできない気持ちを、無意識の行動で表している。
●親ができる5つの対応
- 抜いているタイミングを観察する
- 否定せず「どうしたの?」と聞いてみる
- 代わりにできる『手のやり場』を用意する
- 毎日5分の『楽しかったことを話す時間』をもつ
- 必要なら専門機関を利用することで、親も孤立しない
どれも特別なスキルはいらない、今日からできることです。
子どもが髪を抜いている姿を見るのは、親としてとても胸が苦しいものです。
でも、きっと子どもは「本当は分かってほしい」「助けてほしい」と思っています。
まずは、今日からできる小さな行動を無理のないペースで始めてみませんか?